2007年06月29日

'08 ハヤブサ

スズキのハヤブサが遂にモデルチェンジする。1999年に発売されてから、カラーリングの変更と非常に小さなマイナーチェンジのみで実に8年が経過し、フラッグシップモデルとしては性能的にやや時代に取り残されつつあったハヤブサだが、ようやく大きくモデルチェンジして最新SSに並ぶ装備を手に入れることとなった。

デザインはこれまでのハヤブサをベースにアクセントを加えてモディファイした程度で、曲面で構成された有機的な形状というコンセプトは変わらない。ヘッドライト・エアインテーク・・サイドカウル・マフラーなどはGSX-R1000の流れを汲むように見える。

新たな装備で注目できるのは、ラジアルマウントフロントブレーキキャリパーとS-DMS(Suzuki Drive Mode Selector)ぐらいだろうか。ブレーキキャリパーはラジアルマウントになったところでそれほど意味があるわけでもなく、むしろマスターシリンダーがラジアルではないことに首を傾げたくなる。S-DMSはR1000で初めて装備された機構で、パワー有り余るエンジンを搭載するバイクであるハヤブサでも何かと重宝しそうだ。

エンジンは2mmのストロークアップによって1340ccとなった。比較的ストロークが長めのハヤブサのエンジンだが、ストロークが更に伸びたことでより広い回転域で巨大なトルクを実現しそうだ。パワーはまだ公表されていないようだが、11%アップという記述があるので、195馬力程度になるのだろうか。圧縮比が12.5とかなり高く設定されていたり、ポンピングロスを軽減するベンチレーションホールや最新技術で製造されるシリンダー、チタンバルブ、気化効率を高めるツインインジェクターなどのSSと変わらぬ最新の装備を考えると軽く200馬力を超えても不思議は無いように思えるのだが、300km/h自主規制などのこともあるのでピークパワーよりフラットかつ大きなトルクを目指していると思われる。

乾燥重量は220kgと僅かだが重くなってしまった。巨大なサイレンサーに象徴される排ガス対策による重量増かも知れないが、元々ハヤブサのマフラーは重く、今回のモデルチェンジでは軽量化は特に考えなかったということだろう。元オーナーとしてはハヤブサの最大の欠点の一つが重量だったので、そこが改善されていないのは残念だ。

全体的な印象として今回のモデルチェンジは、デザインのモディファイと厳しくなった排ガス対策を含めた各種の技術的アップデートのみを行ったものに見える。コンセプトは完全にキープ、デザインも基本的要素を変更しないで、技術的に古くなってしまった装備を最新のものに置き換えただけというこのモデルチェンジのパターンは、他に例がない気がする。ハヤブサを気に入り乗り続けてきた人なら、新デザインを受け入れられれば乗り換えても何一つ悪くなる点無しに進化した装備でより高い次元の走りを享受できそうだ。

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